恋物語
「夏祭りまでの勉強、がんばったらなんか奢ってやるよ」
「りんご飴!」
「はやっ」
空は笑って
「りんご飴、昔から好きだもんな」
私だって、空が好きなものくらい知ってる。
わたあめ好きだもんね。
顔に似合わず。
「空は…」
私は笑いが止められない。
「俺の好きなものは言わなくていい!」
空は口を手で隠した。
「はーい」
空は自分のことで笑われるのが恥ずかしいらしい。
絶対に恥ずかしいことがあると口を手で隠す。
昔からの癖だ。
「ほら、ほんとに始めんぞ」
今度はほんとのほんとに勉強を始めた。