イルリマ帝国伝説記
そこにはうっすらっ埃がかかっていた。あいている方の腕で誇りを払う。すると古典的な紋章とかすれた文字が出てきた。まるで魔術書みたいな感じがした。
(科学が発展した現在に魔術なんで)
ない訳じゃない。表立たなくはなっているとは思うが。まあ間違いなくそんな風になればオカルト集団がひとつ出来上がるだけだとは思うが。
かすれた文字は金色の文字だった。古文書なんかにありがちだなと思う。どこか異国の古文書そんな印象を受けた。
文字は掠れていて読めたものじゃない。文字だったと思われる形は所々残ってはいるけれど。
(あれ?)
なんだろう、この妙な感覚。中に溢れだしてくる懐かしさのようなあったかい感じ。その古文書をオレは知っている?
何かが支配していくのを感じた。不思議と怖いとかの恐怖はない。
思い出せそう言われているような感覚。懐かしい声
(なんだ、一体)
思わず頭を抱える。声は止むことはない。
(思い出せ)
ひっきりなしに頭の中で声がする。
それはオレの声じゃない他の何かの声のように感じた。
思考を巡らせる。声は響き続けている。
ただただ本の表紙を見つめる。

(思い出せ)
幾度となくこんな呼び掛けが頭の中で何度も響く。その度に必死に思い出そうとはするものの
できない
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