イルリマ帝国伝説記
ずきっ

(うぐっ…)

そんな時ふいに頭痛がオレを襲ってきた。
締め付けられたような痛みに苦しめられる

(とりあえず…)

薬を出そうと鞄を引っ張る。頭痛持ちのオレは常に鎮痛剤を携帯しているのだ。
「痛っ」
頭をおさえて踞る。痛みは半端なく伝わってくる。

(どうしたというんだよ…)

何とかして体を持ち上げる。座っているのが精一杯だ。

(助けを…)

動かない体を無理矢理動かして人がいるところに行こうとする。学校はサボっているけれどそんなこと今はどうでもいい。痛みを止めたい。
説教をきくくらいの覚悟ならとうにできている。
その時眼中にくつっいたままの本が目に入ってきた。こんな状況でもなお離れる気は無さそうだ。
もっとも本に気持ちがあるかどうかなんて知らないしどうでもいいことなんだけれど
(思い出せ)

まただ。頭の中の声がオレに呼び掛けてくる。なんなんだ、一体。オレの体調なんてお構いなしかよ。
頭の中に聞こえてくる声に怒りを感じた。
(思い出せ。なーーーだ。さいーーー)

頭の中の声はひっきりなしにオレに話しかける。だけれど。
あまりの痛みにオレの記憶は途絶えてしまったのだ
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