ハンナの足跡

「ハンナが嘘なんて付くわけないじゃないの！おかしな事言ったら、あたしだって許さないよ、マネージャー！」
　朋子が間に入った。
「確かに、朋子が言うように、あの子、嘘付けるほど、頭ないからねえ。」
　僕が殴る前に、朋子がマネージャーの頬を叩く音が響いた。僕は朋子をなだめた。殴れば朋子が汚されるような気がしたから。僕はマネージャーの腕を掴んで言った。
「マネージャーより、社長の方が話が分かりやすそうだな。あんたは、どうせ、使われてる身だろ。けどさ、かっこ悪いよね、あんた。使われている身と言ったって、人の上に立つ者だろうが。もう少し、プライド持てよ。」
「…僕らは、やれと言われた事を、完璧にこなせばそれでいいのさ。いちいち情などにこだわっていたら、管理など出来はしない。」