ハンナの足跡
「あんた、これからも、ハンナの事、宜しくな。心のケアをさ。面倒見てやってよ。俺も最近は、面倒見てやれねえからよ。その他の問題は、俺がきっちりやっとくからさ。頼むよ。」
「…はい、もちろんです。失礼します。」
「おう、何かあったら、また来な。気を付けて帰れよ。」
「はい。あなたに会えて、よかったです。失礼します。」
 僕はドアを閉めた。やっと冷静さを取り戻せたようだ。僕は、ハンナの事となると、周りが見えなくなる自分が居ることに気付いた。僕は、ハンナに恋をしているんだろうか。いや、そうではない。ハンナは、僕にとって、人生の命題のような存在なのだ。一生掛けても、解けないような、それでいて、一生を掛けてもいいと思えるような。ハンナはそういう存在なのだ。
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