ハンナの足跡
 後日、神崎は再び店に現れた。三人は盛大に彼を迎えた。今日は一人でいいという神崎に対して、三人はこう答えた。僕と仲良くしているのは、私達三人だから、神崎さんには三人一緒でしか相手をすることは出来ないと。自分の思い通りにならないことを不満に思った神崎は、店で大声を出して暴れだした。マネージャーが止めに入ったが、それでも暴れ続けたので、マネージャーは、例の部屋へ案内したという。そのときも、社長がたまたま店を訪れていた。マネージャーは事情を説明し、神崎のことを相談した。社長にしても、神崎などは喜ばしくない客だったので、店の外へ出され、もう二度と来るなと追い返されたという。
 その後、しばらくして、神崎は異動した。僕らが居る所よりも、遥かに暇であろう所へ左遷されたのだ。僕は、この件で、社長が警察関係の上の方と繋がりがあることを知った。神崎のことより、後輩が入って来ることが楽しみで仕方がなかった。
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