ハンナの足跡
 明くる朝、起きてみると、ハンナは気分が悪そうだった。僕は日頃の無理が祟ったのかと思い、熱があるかどうか、額に手を当てたりしてみた。少し熱っぽい気がした。無理をさせるのはよくないので、朋子を起こして、早めに家へ帰るように言った。朋子もハンナを心配して、温かいものを飲ませたりした。西島も気が付いて、ハンナを家へ送って行くと言い出した。朱美はまだ眠そうにしていたが、皆の様子に気付き、いそいそと帰る準備を始めた。歩けないほどではなかったが、足元がふらついていた。ハンナが西島と朋子に抱えられるようにして、四人は僕のアパートを後にした。ハンナが心配で仕方なかったが、僕は仕事をサボるわけにはいかないので、後ろ髪を引かれる思いで、支度を始めた。
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