ハンナの足跡
「俺は物心つく前に、両親を亡くして、孤独だった。俺はそういう環境の中で、自分が壊れてしまわないように、必死に自分を孤独に慣れさせていったんだ。本当は寂しかったり、誰かに頼りたかったりしたかったのに、無理してたんだ。そういう自分が居ることに、気付きもしないでさ。自分にさえも無関心だったのさ。」
「…先輩…」
「ハンナに出会って、俺は、無理してる自分に気が付けたんだよ。だから、ハンナの寂しい気持ちとか、誰かを頼りたい気持ちが分かるのかもしれない。同じような思いして来たって部分で。付き合うと、別れなきゃならないこともあるだろう。けど、友達ならずっと側に居てやれる。ましてや兄妹みたいな関係なら。俺はハンナの居場所になりたかったんだ。いつでも帰ってこれる場所。気兼ねなく帰ってこれる場所に。」
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