ハンナの足跡

「先輩、すげえや…」
「なんでだよ。お前の方がすごいだろ、正面から向き合う勇気があるんだから。」
「そうじゃなくて、先輩は、自分の男としての欲求を取らないで、ハンナの友人になることを選んだんですよ。」
「そうだよ。別に凄くないだろよ。」
「すごいことですよ、俺から見たら。俺は欲望の塊ですもん。これがしたいって思ったら、あきらめられません。」
「お前は獣なんだよ。」
「はいはい、獣です。今回ばっかりは、それを認めざるを得ないなあ。先輩の話聞いちゃうと。」
「お前は夢を諦めるな。ハンナが子供を産むってことと、お前が夢を追いかけることは両立出来ると思うよ、俺は。…しかし、お前が獣だったおかげで、ハンナは女として輝けたのかもしれないな。」
「なんですか、それ？」