ハンナの足跡

「ハンナは、社長の養女になってること、知ってるんですか？」
「いや、分かってねえと思うよ。ハンナは意味わかんないで、手続きしたからな。」
「あなたは、自分の娘に、あんな仕事させて、平気なんですか！？」
「まあ、そう熱くなんなよ。だってさ、俺がいくら言っても、あいつは辞めないんだから、仕方ないだろ？家族のためにって一生懸命に働らいてんのに、本当は、家族はお前のことなんて金を産む装置ぐらいにしか思ってないんだよ、なんて、俺に言えるわけないだろう。それこそ、あいつ、自殺しちまうよ。」
　僕は返す言葉が見つからなかった。