ハンナの足跡
ハンナの生まれ育った国は、多くの人が貧しい。大家族が多く、暮らしのために、家族全員が協力するという。まだ働きに出られない子供たちは、下の子供たちの世話をし、働ける者は、皆で賃金を集めて生活のために使う。あまりに貧しくて食べることさえ出来ないときは、ゴミを漁ることもあるという。国で働いても、賃金が安いため、稼げる国へ行って、家族のために働いている若者は多いそうだ。ハンナのような娘も多いという。ハンナが国の話をするとき、いつも両親や兄弟を恋しがる。すると決まって僕は、いつかハンナを連れて、家族という物を見せてもらいたいと思った。