ハンナの足跡
 ひとまず持ってきたプレゼントを、西島の車へ積み、ハンナの移った病室へ向かった。点滴を打たれ、弱々しく横たわるハンナがそこに居た。
「ハンナ、そんなに産む前より細くなってるじゃないか。」
「…お兄ちゃん。私、赤ちゃん、産んだよ。」
「ああ。頑張ったな、偉いよ、ハンナ。」
「ふふっ。…早く、赤ちゃんに会いたい。」
「会うには、お前が元気にならなきゃな。」
「うん。」
 これまでの苦労が、ハンナの体を蝕んでいたのだろうか。僕はそう思うと、泣き出しそうになってしまった。朋子がそんな僕を見て、代わりにハンナに声を掛けた。
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