ハンナの足跡
「うわ、赤ちゃんが一杯居るよ、朋子。」
「ほんとね、凄いわ。どれがハンナの子か、全然分かんない。」
「俺も分かんないなあ。」
「何だよ西島、頼りねえなあ。」
「だって、母親しかここには入れないんですもん。ハンナが具合が良ければ、自分でミルクやったり出来るんですけどね。今は看護婦さんが代わりにやってくれてるみたいで。ハンナが可哀相ですよ、俺。」
 西島は落ち込んでいた。さっきまでは、僕らを心配させまいと、必死で明るく振舞っていたんだろう。そんな姿が痛々しかった。
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