ハンナの足跡
旅立ち
 出産から二ヶ月程経って、ハンナは救急車で病院へ運ばれた。僕は、西島の代わりに、仕事帰りに瑠奈の面倒を見るのが日課になった。
 病院で、西島は医者に呼ばれた。
「奥さんの状態なんですが、あまり良いとは言えません。」
「何かの病気なんですか?」
「肺炎にかかってらっしゃいます。」
「肺炎…」
「吐血なさったようですし、熱も高い。加えて、一番良くないのは、免疫力が低下しているということです。」
「…はい。」
 西島は意識が遠くなっていくのを感じた。
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