ハンナの足跡
 それからしばらく、僕は西島達のマンションで寝起きする生活が続いた。仕事が終われば瑠奈が待っている。僕は瑠奈と一緒に、静かにハンナが戻ってくるのを待った。西島は毎日病院へ通い、その度に青い顔をして帰ってきて、瑠奈の顔を見て生き返った。こんなとき、一番辛いのは、西島だと痛感した。僕は、ハンナが日に日に弱っていく姿を直視することなんて出来ない。僕はやっぱり西島の言うように、意気地無しなんだろう。ただ祈るように瑠奈の面倒を見る。僕はそんなことぐらいしか出来ない男だ。
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