ハンナの足跡
 僕が病室の外へ出てみると、西島とハンナが長椅子に掛けていた。西島は起きていたが、ハンナは西島の膝の上で、頭を撫でられながら、眠っていた。僕はさっき朋子が掛けてくれた毛布を西島に手渡した。西島は軽く微笑んで、それをハンナの体に掛けてやった。
「先輩、朱美ちゃんは?」
「大丈夫、さっき目を覚ました所だよ。」
「よかった。」
 僕と西島はほっとして、いつものように片手を上げて、軽くハイタッチした。
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