ハンナの足跡
 僕と朋子が付き合い出してから、ハンナではなく、朋子が僕のアパートによく来るようになった。ハンナは遠慮しているのだろうか。僕はハンナのことを全く忘れてしまったわけではないのに。朋子にもその辺は理解してもらわないと困ると思った。けれど、付き合い始めの頃は、感情的になり易いので、しばらくその話は控えようと思った。僕は朋子に甘えた。甘えたいだけ甘えた。朋子はそれを快く許した。僕は朋子の前では無防備で居られた。朋子が居ると、安心出来た。
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