ハンナの足跡
僕は朋子の仕事を考えると、複雑な気持ちになる。早く借金を返し終わって、朋子が普通の女になればいいのにと思った。そうしたら、何の心配もなくなって、朋子は僕と一緒になれるのにと。朋子の背負う借金を返す手伝いをしてやろうかと僕が言ってみたことがあったが、朋子はそれを断った。僕に手伝ってもらっては、意味がないと言った。自分の問題は、自分できちんと解決したいのだそうだ。それが終わるまでは、今の仕事は続けると言った。朋子は朱美のように依存症なわけではないから、仕事が辛いだろう。ハンナも同じように辛いだろう。僕は、二人のためなら、何でも出来ると思った。