ハンナの足跡
 二人の愛を独り占めにしていることに、僕は満足すると共に、西島に申し訳ない気持ちになった。西島はとは飲み会のとき以来、会っていない。僕はこのことを朋子に相談してみた。
「そんなことで悩んでるなんて、あんた幸せ者だね。」
「ハンナにも俺は幸せ者だって言われたよ。俺もそう思う。」
「ホント、そうよね。」
「だけど、俺が幸せ者なのは、すべて朋子のおかげなんだよ。」
「あらまあ。すごい事言うのね。」
「だってそうなんだから、仕方ないじゃないか。」
「そんなこと言ってもらえて、あたしも幸せ者ね。」
「俺もお前を幸せにしているなら嬉しいよ。」
「ふふっ。そうねえ、西島さんは、ハンナを好きなんでしょ。なんとか二人で会わせてあげたいけど、まだお互いに分かってない部分とかもあるだろうから、最初のうちは二人だけじゃない方がいいのかもねえ。」
「だよな、俺もそう思ってたんだよ。」
「西嶋さんの試合を、あんたとあたしと、ハンナの三人で観に行くってのはどうよ。」
「おお、いいねそれ。さすが朋子。」
「でしょ?朱美には申し訳ないけど、朱美が居ない方が二人にとってはいいでしょ。」
「確かに。アイツ、別に害はないんだけど、放っておけないタイプだからな。朱美も連れてったら、朱美だけ余っちゃうし。三人で行くことにするか。朱美には上手く話して置いてよ。」
「わかった。任せて。」
 
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