ハンナの足跡
「先輩!」
 西島は試合の後でも元気一杯だ。怪我もあまりしていないようだ。今日の試合の様子なら、納得できた。
「西島、圧勝だな。おめでとう。」
「ありがとうございます。今後も、この調子で行きますから。」
 僕と、しっかりと握手をした後、朋子にも声をかけた。
「朋子ちゃん、先輩みたいなイイ男つかまえて、やるじゃないっすか。」
「そうでしょう?西島さんも素敵だけど、あたしにはこの人が一番なの。」
「のろけちゃって、このぅ!俺、朋子ちゃんより年下なんだから、西島さんなんて、いい加減やめてくださいよ。」
「そう?じゃあ、西島くんて呼ぶ。」
 朋子と話をした後、西島はキョロキョロと誰かを探し始めた。
「あれ、ハンナは?居たでしょう、会場に。先輩、俺に内緒なんだもん、びっくりしましたよ。」
「西島を驚かせたくてさ。その方がお前は気合が入ると思ってさ。」
「先輩はやっぱり俺の事よく分かってくれてんなあ。」
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