ハンナの足跡
「わかったよ、ハンナ。俺、待ってる。出来るだけ早い方がいいけど。」
「そうね。早く、返事するよ。」
 お互いに微笑み合った。僕は、朋子と一緒に、そんな二人を見守っていた。高雄さんは気を利かせて、調子を取った。
「はいはい、お二人さん、そこまで。なんかドラマでも見てるみたいで、オジサン、ハラハラしちまったよ。さあ、皆で飯でも食いに行こうぜ、な?」
 高雄さんは二人の肩を抱いて、外へ連れ出した。
 その晩は、西島の勝利に、皆酔いしれた。誰もが西島の今後の活躍を期待した。西島という男は、そんな重いプレッシャーさえ、自分の力に変えてしまうような男だ。何の心配もないと僕は安心しながら、西島の側に居た。
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