ハンナの足跡

「女に告白するのなんて、初めてです、俺。今まで、別に誰でも良かったから、向こうから寄ってくるのを拒まずって感じで。飽きたらポイしてました。本気で好きになった娘なんて居なかったな、一人も。強く印象に残ってる娘も居ないし…。」
「贅沢な女性遍歴だよな、お前。俺も経験してみたいもんだ。」
「いやあ、そんなに言うほど、いいもんでもないですよ。正直、いちいち一人ずつ断るのが面倒で、なら、皆まとめて相手してやるかってノリでしたもん。そう考えると、俺って今まで、女に不誠実な男だったんですよね。」
「そうかな。女達だって、イイ思いしたんじゃないの、お前が構わず相手してやってさ。タダで遊べるホストみたいなもんだろ。真剣にお前の事好きだった子には、不誠実だったのかもしれないけど。」
「まあね。けど、ハンナにとって、俺は誠実で居たいんですよ。俺は、そういう風に思える人に会えただけでも得した気分ですよ。」