ハンナの足跡
「やって後悔する方が、やらないで後悔するより、いいだろ?俺はそう信じてる。それに、お前みたいに義務を果たしている人間が、いろんなことを諦めたり、我慢したりしているのを見るのが、俺は嫌なんだ。お前みたいな子を見て、何食わぬ顔で放っておけるような人間には俺はなりたくない、絶対に。だから、俺に出来る事は、精一杯やってやりたいんだ。」
「ありがとう、お兄ちゃん。本当に、いつもありがとう。私、何もしてあげられないのに。お兄ちゃん…。」
「違うよ、ハンナ。前にも言ったかもしれないけど、何もしてくれてないわけじゃない。お前が、俺を生かしてるんだ。」
 ハンナは僕の手をしっかりと握った。
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