ハンナの足跡

交渉

　ハンナは休日、西島とデートに出掛けた。朋子から、そう連絡を受けて、僕は早速、店のマネージャーを訪ねることにした。ハンナ達の働いている店に着く頃、朋子が店の前で僕を待っていてくれた。朋子に案内されて、僕はマネージャーの部屋へ辿り着くことが出来た。
「あなたが、有名な刑事さんですね。」
　マネージャーの第一声に、僕はムッとした。
「刑事ってほどでもないです。ただの警官ですよ、下っ端の。」
「まあまあ、そんなに怒らなくてもいいじゃないですか。三人がよく、あなたを英雄のように話しているので、有名だって言っただけですよ。」
「そうですか。」
「警察関係の方には、こちらも睨まれると恐いですから。穏便にお願いしますよ。」
「あなた達の店に関しては、僕は興味がありません。」
「それは一安心だ。で、朋子から聞いたんですが、今日はハンナのことで？」
「そうです。」