ハンナの足跡

　単刀直入に、僕はマネージャーに向かって言った。
「ハンナを辞めさせてもらいたいんです。」
　それを聞いて、マネージャーは失笑したが、朋子は驚いていた。
　二人を他所に僕は話を続けた。
「あなたも気が付いて居るでしょうけど、ハンナは好きな男が出来たんです。普通の女に戻してやりたいんです。ハンナもそう望んでます。」
　マネージャーは真剣な顔付きになった。
「そりゃあね。知ってますよ、ハンナは最近、浮ついて居ますから、男が出来たんだってことぐらいね。お客じゃないから、泳がしては居ますけど。僕には責任がありますから、店の女達を管理する。あなたの可愛がっている、三人の女は、逃げられない立場にあるでしょう。こちらは管理し易いが、ハンナの事情を知って、そんなことを言っているんですか、あなたは。」