何度でもキミに初恋を
『次は1-Dか…』

柚樹先輩の声に、私は急にドキドキする。

私たちは各クラスの進捗状況を聞いて回っていた。


剣人のクラスだ…。

どうしよう。
なんかすっごく緊張する。


『すずちゃんのことを嫌ってなんかいないよ』

暁人兄ちゃんの言葉を思い出して、勇気をふり絞る。


ガラガラ、と扉を開けて、柚樹先輩は委員の子にいろいろ質問をしている。


私はそっと教室を見渡して…


いた。


剣人は窓際に直に座って、篤史くんや他の男の子たちと、笑って話をしていた。


久しぶりに見た剣人の笑顔に、私はなぜか胸が苦しくなる。


篤史くんが私に気付いて、『あ』という顔をしたのと同時に剣人が私に気づいた。


その瞬間、
剣人の顔から笑顔が消えて、思いきり顔を背けられてしまった。


私は鼻の奥がツンとして思わずうつむく。


ヤバい、泣きそう。

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