何度でもキミに初恋を
体育館の非常階段で、紙パックのコーヒーを飲みながら、俺はぼんやりする。


さっきのすずの顔を思い出す。


すずは、今日もフェミ男と一緒だった。

フェミ男のそばにぴったりとくっついてた。


それが、ただただ気にくわなかった。


おもしろくない、と思った。



教室を出ていくとき、チラッと見たら、うつむいたままのフェミ男の後に着いていくすずが見えた。


フェミ男はドアのところで、すずを先に行かせて、自分がドアを閉めた。


『あのフェミ男やろう』


呟いて空を睨むと、そんな俺を、雲が笑っている気がした。



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