何度でもキミに初恋を
撮影がスムーズに進んでるのを見て、ホッと一息つく。


里奈ちゃんが、
『だいぶ落ち着いてきたし、休憩回していこっか』
ボサボサになった髪を結び直しながら言った。


『里奈ちゃん、先に行ってきてよ』

『すずかは?』

『私、もう少し見てる。里奈ちゃん帰ってきたら行くから、ゆっくりしてきて』

里奈ちゃんは、
『じゃ、メイク直してくるかな』

と言って出ていった。


私は裏方の狭いスペースで、さっき綾ちゃんが買ってきてくれたジュースを飲みながら、ぼんやり考える。


剣人の執事、どんなのかな?


見に行きたいけど…。

また冷たくされちゃうよね…。



文化祭に集中する、って決めたのに。



私は、ジャージの袖でそっと涙を拭いた。




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