何度でもキミに初恋を
メインステージでは各部活動が出し物をしていた。


今は、吹奏楽部が演奏をしている。



俺たちは、椅子に座ってため息をつく。


『まじ疲れた…』

篤史が呟く。

『綾先輩は来てくれないし…』

『そうだな』



吹奏楽部が終わり、柔道部が瓦割りを始めた。


『おっ、すげぇ』

篤史がそれを見て嬉しそうな顔をする。



こいつは…
少しすずに似てるな。


なんとなく、そう思う。


柔道部が手を振りながら舞台から消えていくと、
ユニフォームに身を包んだサッカー部の部員たちが、サッカーボールを手に持って登場した。


部員たちは、リフティングやヘディングの技を披露しだした。


ポンポンポン、というボールの跳ねる音が聞こえてくる。


さっきまで嬉しそうに舞台を見ていた篤史が、隣で体を固くしたことに気づく。


『…焼きそばでも食いにいかね?』

そう言って、篤史は立ち上がる。



篤史は勘のいいやつだな。
たぶん…何かを感じ取っている。
それでいて、こいつはきっと自分からは絶対に聞いては来ない。

この先も、何年たっても、きっと自分からは聞いて来ない。


『…剣人?行かねーの?』


俺はサッカーボールを見つめたまま、話し出す。


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