何度でもキミに初恋を
俺たち家族に頭を下げるトラックの運転手。


『居眠りだったらしい』


篤史はじっと前を向いたまま聞いている。

ステージでは落語研究会が落語をしていて、笑い声が聞こえている。


『それからさ、退院して学校に行ってもさ…』


サッカー部のやつらもクラスメイトたちも、まるで腫れ物を扱うように俺に接した。


同情と哀れみ。
そして少しの好奇心。


『なんか、そういうのが嫌になって、学校とかも休むようになってさ、あれだな、被害者意識ってやつ』



俺は笑わなくなった。

そんな俺を見て、父さんは会社に異動願いを出した。



『で、帰ってきたんだよ』


この町に。
篤史やすずがいるこの町に。

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