何度でもキミに初恋を
『終了時間まであと一時間です』



校内放送のフェミ男の声を聞きながら、俺は話し方までフェミニンだな、と思う。



篤史は隣でスマホを見ていたが、
急に、
『なぁ、俺まだ回ってないところがあるから、付き合えよ』
とズンズン歩き出す。


『どこだよ』

俺は歩きながら聞く。

『いいから』



俺たちは、二日間、みっちりと働かされた。
かなり売り上げに貢献したと思う。

クラスの実行委員の子は、
『二人とも、お勤め御苦労様でした。あとは全然、指名入らなかった子たちにやらせるから』
と言って、少し早めに解放してくれた。



篤史が鼻唄を歌いながら、向かった先は…


すずのクラスだった。


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