何度でもキミに初恋を
サラ、
サラ、
サラ…



ドレスがこすれる音がして、
顔をあげると目の前にすずがいた。


『……』

カーテンの隙間から灯りがもれて、すずの顔を照らす。

あまりにもきれいで、俺はすずから目をそらせない。



『…どうして…私に冷たくするの?』



すずの目から涙がこぼれる。


『…っ!!』


胸が苦しくなって、気付くと俺はすずの肩を抱き寄せていた。


すずの肩や背中に直に腕がふれて、ドキドキする。


すずは、俺の胸の中でじっとしている。


その時、ようやく、俺は気付いた。



どうして冷たくしたのか。
どうしてすずがフェミ男といるとイライラするのか。


今まで、俺に告白してきた女の子が、涙を浮かべても俺は『悪いな』としか思わなかった。


でも、
すずだけは。

すずだけは、俺がなんとかしなくちゃ、って思う。

すずが泣いてたら、苦しくてどうにかしてやりたい、と思う。



それは…

俺がすずを、


『…好き…だから』




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