何度でもキミに初恋を
『じゃあ行こっか…』

なるべくアイツの顔を見ないようにして靴をはく。
ママとそれから奥にいるパパに
『行ってきます!』
と言うと、パパがダイニングキッチンから顔をだし、
『すずちゃん、剣人くん、いってらっしゃい!』
と言った。


そのままうつむき加減でドアに向かうと、


ガンッ



『…っ!!』



開いてなかったドアにおでこを思いきりぶつけてしまう。


『ぷっ、バカ…』


小さい声で笑うアイツ。


く、悔しい!!



『いくよっ』


私は今度こそ、ドアを大きく開き、外に飛び出した。


ドアが閉まる直前、
『ほんとに大丈夫かしら?あの子…』というママの声と、
『ほら、すずちゃん、お年頃だから』
というパパののんびりした会話が聞こえてきた。

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