何度でもキミに初恋を
すずの目は真っ赤だ。


『…どした?』


『う…、わ…私…綾ちゃんと離ればなれになっちゃう…』


『はぁ?』



『違うでしょ、すず!!アンタが追試を頑張ればいいの!!何回言ったらわかるわけ?』


『だって…何回試験したって…一緒だもん…わ…私…数学、全然わかんない…絶対、留年するんだもん…うぅ…』


『と、まぁこういうわけ』


綾先輩がさらりと言う。


『あー…、なんとなくはわかりました…』


『じゃ、あとはよろしく』



は?


と呆然とする俺を残して、綾先輩はさっさと出ていく。


『綾先輩〜』と言いながら、篤史も着いていき、綾先輩に『ついてくるな』とバッサリ切られている。



そんな二人を見送って、俺はため息をつく。



『で?数学のどこらへんが出てんの?』

仕方なく聞く。


すずは目にいっぱい涙を溜めて、
『…そんなの…剣人に言ったって仕方ないじゃん…私、二年生だもん…剣人は一年生でしょ…』


なぜか二年生、の部分だけ声がでかい。


『いや…俺、前いた中学が進学校だったから…高校二年くらいの数学、わかる』


『…まじで…?』


『まじで…』



< 35 / 143 >

この作品をシェア

pagetop