何度でもキミに初恋を
こ…
これはいくら幼馴染みでもまずいだろ…

俗にいう腕枕ってやつだ…。


すずの顔は俺の胸あたりにあって、どんな顔をしているかはわからなかった。



でも、これは絶対まずい。


すぐに背中に回していた手を離そうとした時だった。




すずがパッと顔を上げて俺を見た。


顔は真っ赤だった。
それに目も。


う…
そんなに嫌だったか…


と思った時、すずが口を開いた。


『わ…私のせいだよね。私のせいで、剣人、高いお熱が出たんだよね…。ほんと、ごめんなさい…』


そう言い終わると、我慢しきれずに、涙をポロポロとこぼした。


その涙を見た瞬間、
俺はなぜかわからないが、また背中に腕を回し、今度は少し力を込めて、すずを抱き締めた。





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