何度でもキミに初恋を
『念のために言っておくけど』


漫画に集中してたお姉ちゃんが、急に話し出してびっくりする。



『あのこけし浴衣はやめなさい』


『うっ…わ、わかってる』


お姉ちゃんは、読んでいた漫画をパタンと閉じると、


『私が着てたピンクの浴衣、すずかにあげる』


と神様みたいなことを言う。


『ほんと!?ほんとに!?』


『うん、あたし、新しい浴衣買ったし』

『えっ!?浴衣買ったの?…なんで?』

『あきがさ、花火大会、一緒に行こうってしつこくてさ。』

お姉ちゃんは、心底面倒臭い、って顔をしている。


『あきって、暁人兄ちゃん?暁人兄ちゃんと花火大会行くの?ってか、暁人兄ちゃんこっちに帰って来てるの?』

『大学、夏休みだから、来週こっちに帰って来るんだってさ。』


お姉ちゃんは、
『あー、面倒臭い、面倒臭い。花火大会なんて人が多くて大変なだけなのに…』

とぶつぶつ言っている。


そのわりに、新しい浴衣を買ったりして…。


なんか…お姉ちゃん、かわいい。


< 71 / 143 >

この作品をシェア

pagetop