何度でもキミに初恋を

『急にチャリ通するし、すずちゃんのことも避けてるし、ほんと、どしたんだろ…』


避けてる…

やっぱり剣人、私のこと避けてるんだ…。


『……』


ヤバい、泣きそう。



『それにさ』


篤史くんはそんな私には気付かずに続ける。


『剣人と俺、小学生のころ、サッカーチームに入ってたんだよね』


そういえば…


泥だらけのユニフォームで、ボールを蹴りながら歩いている、小さい剣人を思い出す。


『剣人、すげーサッカー上手かったし、好きだったし、高校でもサッカーやると思ってたんだけどさ…』



『…うん』



『やらねーって言うの。体育もサボるしさ、なんかあったのかな。向こうで』


『向こうで…』


私は、剣人と離れていた三年間のことを、何も知らないことに今さら気づいた。


『すずちゃんも聞いてないか…。あいつから言ってくれるまで、待つしかないかな…』


篤史くんがポツリと呟いた。




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