サヨナラまでの距離
「…それじゃあ」
「あぁ、おやすみ。寝坊しないようにな」
「もう、しつこいよー」

舞は頬を少し膨らませて、 ふたりで目を合わせて一緒に笑う。俺たちの別れに涙なんて必要ないと思った。

その笑い声は、静かに静かに星空へと溶けていく。


“研一は私の一番だったよ”


いつの間にかお互いを好きになっていたように、いつの間にかお互いのことを好きだという想いがカタチを変えて、お互いの心からはみ出していってしまったんだと思う。

俺たちは変わってしまったそのカタチを受け容れることができなくなった。
好きとか嫌いとかそんな簡単なものじゃなくて、そのカタチが なんなのか答えを出せる相手が俺にとっては舞じゃなくて、舞にとっては俺じゃなかっただけだ。

もしいつかまた誰かに恋をして、気持ちがひとつになることができたら、カタチを変えていくその想いがなんなのか答えを見つけたい。

舞もいつかそんな運命の人と出逢って、俺と は出せなかったその想いの答えを見つけても らいたい。

空を見上げて歩く、大好きだった人の後ろ姿を見送りながら、そんなことを心から祈った。



おわり

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