それでもキミをあきらめない
* ゆるせない
天国から地獄へ。
それってきっと、こういうときのことをいうんだ。
ひとがばらばらと帰っていく放課後の生徒玄関で、そう思った。
目の前の、いくつものよごれた靴を抱いてそびえる靴箱の向こうから、
楽しげな笑い声が聞こえてくる。
「お前、もう罰ゲーム実行したのかよ」
「ぎゃはは、すげーよレオ。尊敬する。アレはない」
声を聞けばすぐにわかる。
彼らは学年で最も注目されている。
まるで誰かがスカウトをしてつくりあげたみたいな、
最上級のルックスを持つ男子だけで構成された、我が校の人気グループ。
そんな彼らが、仲間のひとりに賞賛を浴びせている。
「やべーレオ、最高だわ。惚れ直した」
「レオくんの勇気をたたえてカラオケ行こうぜ」
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