それでもキミをあきらめない
キリカさんが変身をさせてくれたおかげで、今まで気づきもしなかったことがわかるようになった。
髪を巻いたり、染めていたり、華やかに着飾っているグループの女子だけでなく、一見派手ではない子たちも、
実は眉を整えたり、薄くメイクをしていたりと、何かしら自分を飾るために手を加えている。
ほかの子たちは、わたしと違って、ただ存在しているだけで可愛いのだと思っていたけれど、
本当はみんな、大なり小なり努力をしているのだ。
ショートカットがよく似合うキリカさんの、優しかった手の感触を思い出す。
――時間を止めるなんて、もったいない。
――せっかく女の子に生まれたんだから、楽しまなきゃ!
わたしが殻に閉じこもって、止まった時間の中で過ごしているあいだに、わたしと同じ年の子たちは着実に“女の子を楽しんで”いるんだ。