それでもキミをあきらめない



耳が低い声を拾い、わたしは席に着いたまま廊下を見やった。

学園祭が終わってから、わたしは以前にも増して高槻くんのことを目で追うようになっている。


どこにいても、何をしていても、彼の声が聞こえれば、否応なしにそちらに意識が奪われる。


「なーレオ! あの子、見つかんねぇよ!」


2組の教室の前を通りかかった高槻くんに、星野彗が甲高い声を張り上げてる。


「おい、なんか言えよレオ」


無言の高槻くんに取りすがるようにわめきたてる星野彗は、まるで飼い主にまとわりつく犬みたい。


「セイ~、あたしたちがいるじゃーん」

「彼女はお前らとは人種がちげぇんだよ! ああ俺の天使……いったいどこに……」


人気グループに群れている女の子たちが甘い声を上げても、星野彗は容赦なく切り捨てた。

彼女たちの「ひっどぉーい」という声が廊下いっぱいに響き渡っても、金髪の彼はまったく意に介さない。


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