それでもキミをあきらめない



なぜか、学校で高槻くんにまとわりついていた、金髪のアイドル男子を思い出して、わたしは笑ってしまった。


高槻くんはきっと、すごく面倒見のいい人なんだ。

新たな一面を発見するたびに、胸がほっこりと温かくなる。


「兄ちゃんお腹すいたー」

「学童でおやつ食ったんだろ?」

「でもお腹すいたんだもん」


首にぶら下がって小猿のようにじっとしていない遼くんを、高槻くんは慣れた様子で引きはがし、立ち上がった。


「しょうがねえな」


学校にいるときよりも口数が多く、しゃべり方もなんとなく砕けてる。

そんな彼を見ているだけでひどく新鮮だ。


「チャーハンつくるけど、小塚も食う?」

「えっ!?」


カウンターキッチンに入って冷蔵庫を開ける高槻くんに、さも当たり前のように訊かれて、

わたしは耳を疑った。


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