それでもキミをあきらめない



引き戸を開くと、そこは兄弟の部屋なのか、

高校の教科書が並べられた勉強机とちいさなローテーブル、それから二段ベッドが置いてある。


遼くんはオモチャの楽器やサッカーボールが詰め込まれた箱をどかして、

奥の棚からなにやら分厚い表紙の重そうな本を取り出した。


「これー」


得意そうに笑いながら、わたしに差し出す。


「アルバム……?」


部屋の真ん中に置かれたローテーブルの上で、渡されたアルバムのページを捲ってみると、

今の遼くんと同じ年ぐらいの男の子が目に入った。


「これ、遼くん……じゃないよね」


わたしの横に座ってアルバムに身を乗り出し、遼くんは嬉しそうに言う。


「兄ちゃんのちっちゃい頃だよ」

「やっぱり! 遼くんにそっくりだね」


そう言うと、よほど嬉しいのか少年はにっこり笑ってページを捲った。


「僕もいるよ」


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