それでもキミをあきらめない



「うん! 奈央ちゃんも。洗面所、こっち」


跳ねるように立ち上がり、遼くんはわたしの手を取って洗面所まで連れて行った。

手を洗い、リビングダイニングに戻るとテーブルに3人分のチャーハンとわかめスープまで並んでいる。

つやつやと輝くお米に黄色の卵、ふんわりとしたこうばしい匂いに一気に空腹をおぼえた。


「すごい……! 美味しそう」

「スープはインスタントだけど」


椅子に座った遼くんに小さなスプーンを手渡しながら、彼はぶっきらぼうな声を出す。


どうやら照れているらしい。


< 140 / 298 >

この作品をシェア

pagetop