それでもキミをあきらめない
「うん! 奈央ちゃんも。洗面所、こっち」
跳ねるように立ち上がり、遼くんはわたしの手を取って洗面所まで連れて行った。
手を洗い、リビングダイニングに戻るとテーブルに3人分のチャーハンとわかめスープまで並んでいる。
つやつやと輝くお米に黄色の卵、ふんわりとしたこうばしい匂いに一気に空腹をおぼえた。
「すごい……! 美味しそう」
「スープはインスタントだけど」
椅子に座った遼くんに小さなスプーンを手渡しながら、彼はぶっきらぼうな声を出す。
どうやら照れているらしい。