それでもキミをあきらめない
○。
あの高槻くんも、
世間からはじき出されてしまったような深い悲しみを、抱いていたことがあった。
……わたしのように、
すべてが嫌になってしまうくらい、胸の中で黒い感情を育ててしまった過去があった。
わたしに話してくれていたときの彼の顔が、頭の中で何度もリプレイされる。
夕日に照らされながら無表情に語っていた彼が、表情を崩した瞬間で記憶はストップする。
一時停止ボタンを押したみたいに、くしゃっと砕けた笑顔が脳裏に焼き付いてる。
――救ってくれたヤツがいたんだ。