それでもキミをあきらめない
そうだった。
無防備な彼を目の当たりにしたせいで、ときどき忘れそうになる。
高槻くんにとっては罰ゲーム。
でも……本当に罰ゲームなのかな。
高槻くんがわたしを騙しているようには見えなくて。
素の自分を見せてくれる彼のことを、わたしは、前以上に気にしている。
「よし、今から買い物いくぞ」
翔馬の声に、わたしは窓の外を見た。
土曜日の午後3時。
日がずいぶん短くなったから、今はまだ青く輝いている空も、もうすぐ暗くなり始める。
「今からって……」
「いいからほら、早く支度しろ」
シャツにジーンズという簡単な格好でもどことなく垢抜けている翔馬は、
わたしのクローゼットを引っ掻き回し、買い物に行くための服装を見繕った。