それでもキミをあきらめない
「だせぇ妹連れて歩くのは抵抗あるけど、仕方ないな。ついでに化粧道具も買ってくるか」
「わたし、そんなお金無いよ」
カーディガンとスカートを受け取りながら、焦って言うと、翔馬は不敵な笑みを浮かべた。
「俺が買ってやるよ。このあいだキリカが使ってた道具もチェックしてあるし」
得意そうに言われ、わたしは唖然とした。
「買ってくれる……?」
誕生日もクリスマスも、これまで兄からプレゼントなんてもらったことはない。
なにか企んでるんじゃなかろうか……と空恐ろしい気持ちで見つめていると、
兄はつまらなさそうに手を振って、部屋のドアに向かった。