それでもキミをあきらめない



「ほら、はやく着替えろ。店が閉まっちまう」

「お兄ちゃん……」


生まれて初めて兄の背中が大きく見えて、じーんと感動していると、


「あ、お年玉もらったら、全額返してもらうからな」


翔馬は真顔で振り向き、そう呟いて部屋を出て行った。


「兄ちゃんそれ……買ってやるとは言わない……」


持っていた服が滑り落ちて、汚れた床に散らばった。




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