それでもキミをあきらめない
「どうせ、罰ゲームで付き合ってただけだから」
口を開けたまま、何も言葉にできない様子で、高槻くんはわたしを見下ろしている。
上りの電車が滑り込んできて、ホームに強い風が吹き付けた。
微動だにしない高槻くんに背を向けて、わたしは星野彗に声をかけた。
「それじゃあ、帰るね」
「えっ、連絡先教えてよ」
慌てた様子の彼に、わたしは首を振った。
「ごめんなさい、わたし、ケータイ持ってなくて」
「ええ、それじゃ、また会えなくなるってこと?」
「大丈夫。明日は、絶対……2組にいるから」
ひそかに決意をして、わたしは星野彗に笑いかけた。