それでもキミをあきらめない
息を潜めて生活していた学校で、わたしの唯一の楽しみは、
高槻くんを目で追うことだった。
でも、そんなふうに、後ろ向きな楽しみなんて、もういらない。
「もう……高槻くんのことは、見ない」
彼の、きれいに澄んだ瞳が、歪んで、
わたしは胸を引き裂かれたみたいな痛みに耐えきれず、通りを駆け出した。
無我夢中で走り、駅についてから振り返ったけれど、高槻くんの姿はどこにも見当たらなかった。